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コストを考えに入れても、製造業では、販売量が増えれば増えるほど1台(個)当たりの製造販売コストが低下する製品は多いのです。
この性質を規模の経済性″と呼びます。
規模の経済性がある製品での広告の効果を、図刷の上側に示しました。
製造販売コストに企業の利潤を上乗せして、製品の価格設定がなされるものとしましょう。
まず、新聞広告やテレビCMを一切活用しないとすると、販売量が限られ、1台当たりの製造販売コストが高くなるため、販売価格も高くなります(図の左側の棒グラフをみてください)。
ここで大々的に広告を打ち、その効果で販売量が大きく増加したとすると、規模の経済性が働いて、1台当たりの製造販売コストが大きく低下します。
広告コストが余分にかかっていますが、利潤を上乗せして設定される販売価格は、広告なしの場合より安くなっています367第九章「投資信託」の広告(図の右側の棒グラフをみてください)。
製造業の場合には、広告が効果を発揮すれば、客側にも大きなメリットがあることが多いのです。
金融機関が販売している資産運用商品(外貨預金・個人年金保険・投資信託など)の場合には、広告の効果で販売規模が拡大しても、一般的に、その商品の収益率は上昇しないからです。
まず、金融機関がいろいろな資産で運用する際の「金融市場での収益率」があり、基本的に、運用規模が拡大しても、金融市場での収益率は変わらないと考えられます。
これが大切なポイントです。
個人向けの資産運用商品の場合には、金融市場での収益率から金融機関がコストと利潤を差し引いたものが、その資産運用商品の収益率(客にとっての収益率)になります。
では、広告がない場合とある場合とで、商品の収益率はどう変化するのでしょうか。
まず、広告なしの場合には、金融市場での収益率が分けられているものとしましょう。
ここで金融機関が大々的に広告を打ち、販売規模が拡大したとすると、右側の棒グラフのようになります。
いろいろと複雑な仕組みの商品もあり、そういった資産運用商品の開発販売コストにはある程度の規模の経済性があるかもしれませんので、販売規模の拡大が開発販売コスト(預け入れ1万円当たり)を引き下げるものとしましょう。
ただし、広告コストが上乗せされます。
また、金融機関側としては、せっかく大々的に宣伝しているのですから、利潤幅を大きくしようとするでしょう。
もちろん、利潤幅を下げて薄利多売を目指す金融機関もあるのでしょうが、積極的に広告を出す場合には利潤幅を大きくする金融機関の方が多数派であることは、これまでの広告をみれば明らかでしょう。
すると、金融市場での収益率から金融機関が差し引くコストと利潤の割合が大きくなり、客がその資産運用商品から得られる収益率は、広告なしのときより下がってしまいます。
このように、大々的に宣伝されている資産運用商品の多くが、客にとってかなり不利な商品であることには、きちんとした理由があるのです。
現実はもっと複雑ですが、基本的な考え方はわかってもらえたのではないかと思います。
とにかく、製造業の広告と金融機関の広告を同じ感覚でみてはいけません。
株式投資信託の手数料第四章でも少し述べたように、ある程度のリスクを負ってでも、資産運用のリターンを高めたいと思っている人にとって、いまの日本では、自分で勉強して企業を選んで株式投資をするのが一番有利です。
有利というのは、引き受けるリスクに対して、コスト差し引き後のリターンを高める効果が、他の資産運用の場合よりも大きいという意味です。
インターネット取引の普及と証券会社間の激しい競争によって、株式を売買する際の手数料はとても安くなりました。
また、株価リスクについては、数種類の企業の株式を組み合わせるだけでも、比較的大きなリスク低下が期待できます。
個人であっても、ある程度まとまった金額(数百万円以上)を株式市場で運用するのであれば、十分に低コストで効率的な運用ができるのです。
ところが、数十万円の資金しかない人が株式投資を始めようとすると、資金規模が小さいために運用の際の制約が多く、効率的な運用がむずかしくなります。
たとえば「日本の優良企業の株式を何種類か組み合わせて買いたい」と思ったとすると、基本的に、百万円を超える資金が必要だと覚悟すべきです(数十万円の資金で実現する方法もありますが、その場合には、別の制約がかかります)。
また、「株式投資で儲けたい」との欲望はあっても、「自分でどの株式を買うかを選ぶのは面倒だ」と思っている人もいます。
勉強(努力)はしたくないけど、儲け(成果)は手に入れたいという発想です。
そこで、@少額の資金しかないけどリスク分散効果の高い株式投資がしたい人、あるいは、A自分で企業を選ぶ手間を省いて株式投資をしたい人、に向けた金融商品として株式投資信託″が用意されています。
そういった人たちから集めた資金をまとめて、専門家が株式や債券などで運用してくれる金融商品です。
株式を中心に運用する投資信託はもちろん、株式と債券をバランスよくミックスした投資信託も、株式投資信託にふくまれます。
海外の債券を中心に運用する投資信託も、税制上の理由などで、株式投資信託の一種として販売されています。
投資信託は、新聞広告でみかける金融商品の代表格と言っても過言ではないでしょう。
「○○ファンド」といった名前がつけられていることが多く、投資信託を単にファンドと呼ぶこともよくあります。
中には、客にとって有利な商品も存在しますが、新聞広告でみかける投資信託の多くは、やはり客側に不利な商品設計となっています。
日本で販売されている投資信託では、一般的に、各種の手数料が高いからです。
投資信託にかかる手数料にはいろいろなパターンがあり、他とは異なる手数料体系の商品もありますが、もっとも一般的な株式投資信託の手数料は図馳のように整理されます。
まず、投資家(客)のおカネがどのような流れを経て株式市場などで運用されるのかをみています。
客の多くは、販売会社(証券会社や銀行)の窓口で株式投資信託を購入しますが、購入代金として預けたおカネは、販売会社を通じて株式投資信託を運用する会社(投資信託会社)に集められます。
どんな株式に投資するかの判断は運用会社がおこないますが、実際の売買は信託銀行がおこないます。
客から預かった資産は信託銀行が自らの資産とは分別して管理していますので、販売会社や運用会社や信託銀行が経営破綻しても、客の資産は保護される仕組みになってい372さて、株式投資信託を購入した客は、どのようにして利益を得るのでしょうか。
たとえば、ある投資信託の取引単位を1口とし、ある時点でその投資信託を買おうとすると、1口につき7500円で購入できるとします。
これを基準価額と呼びます。
そして、投資した資産から収益(株式の配当や債券の金利など)を受け取ることで、また、投資した資産の価格変動(株価や債券価格などの変動)によって、投資信託の基準価額は日々変動します。
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